終末期医療と植込み機器

先日の京都講演会で心不全看護認定看護師 小笹 考様が述べられていた「終末期医療にある患者のICD・CRTDの取り扱い」を大変興味深く聞かせていただきました。私なりに想像でしかないが、このような場合機器の停止を医療関係者や患者家族はどのように考えているのか大変興味があります。
ネットで色々調べていたところ、日本循環器学会のページに「循環器疾患における末期医療に関する提言」が有り、長い文章ですが読んでみました。なかなか興味深い内容で、このような提言(ガイドライン)があることを知り、とても勉強になります。
私の母も90近くで4年前になくなりましたが、ペースメーカを入れて5年、体が動かない意識がはっきりしない状況で今思えばそのまま動かしておいてよかったのか改めて考えさせられます。

関係ある個所を分かりやすいように抜粋いたしました。
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_nonogi_h.pdf

  • デバイス植込み例の終末期状態への対応

終末期に考慮すべき事項として、終末期の身体状況や予後に関する教育、ICDの停止、事前指示書の作成、緩和ケア等を挙げ、それらを患者または家族間で検討することを推奨している。
一方で、終末期の日々において、回復の見込みのない患者に、気管挿管やICD植込みといった侵襲的処置をすべきでないとしている。
また、ペースメーカ、ICD、CRTの停止を希望する終末期の患者に対して、以下のようなアプローチを義務づけている。
デバイス停止の結果と代替治療の情報を患者に与え、その内容を記録にとどめること。デバイス停止を行うためには患者の蘇生措置拒否指示が必要であり、これらの指示内容をカルテに残すこと。患者は思考能力が低下している恐れがあるため、精神科の診察を受けること。臨床医が同意できない場合は倫理面のコンサルテーションを求めること。デバイス停止を行うべきでないとする信念を臨床医が持っている場合は、他の臨床医に紹介すること。患者が植込み施設とは離れた場所にいる場合、担当医は上記の情報をカルテにとどめた上で、デバイスのプログラミングができる人を依頼すること等である。

  • ○終末期の患者へのデバイス停止に関する調査結果

欧米のガイドラインには終末期の項目が存在し、患者と家族に対して終末期の検討を行うことが推奨されている。
実際に米国では大多数の内科医が終末期患者のICD中止を検討した経験があり、80%以上の医師が、事前指示や蘇生措置拒否に直面していた。
また、約60%の心臓専門医がICD停止を家族あるいは患者と検討した経験があると報告されている。
翻って、我が国では循環器医療の末期的状況における治療介入または治療中止の基準が制定されてなく、事前指示やDNAR指示(心肺蘇生を行わないことを前もって指示しておくこと)等の情報が十分に周知されていない、このため、多くの医師は諸外国のような状況に直面することはなく、かつ終末期ケアに関する検討も一部を除いてなされてこなかった。
最近、終末期ケアを取り入れる際に困難を感じる理由について、全国337のICD認定施設に勤務する医師と看護師を対象として行った。それによると、回答のあったそれぞれ95名の医師・看護師のうち、約70%から終末期の検討を行う共通の意思を確認できたものの、実際には50%の医師と73%の看護師はICD停止を選択肢として患者または関係者と検討した経験がないという結果が得られた。また、末期心不全患者への緩和ケアの導入が困難な理由として、重症心
不全の生命予後の予測ができない34%、ガイドライン等の基準がない23%、末期には本人の意思決定が難しい14%、等の意見が寄せられていた。

  • ○デバイス植込み後の終末期患者への治療に関する提言

我が国では、終末期患者のデバイス管理に関して、個々の医師の裁量に任されているのが実情である。現時点では終末期医療に関する国民的合意は確立されてなく、事前指示やDNAR指示等も一般に理解されていない。また、終末期ケアの手法を誤れば、延命治療を中止したとして、医師が刑事訴追される可能性も指摘されている。
しかしながら、終末期の苦痛を伴うデバイス作動の回避は、患者本人またはそれを看取る家族にとっても望ましい。今後、終末期の日本人患者におけるデバイス治療基準を明確にするとともに、欧米のガイドラインに準じたデバイス停止の倫理指針、患者教育基準、緩和治療基準等の早期策定が望まれる。

hitomi


「不整脈に起因する失神例の運転免許取得に関する診断書作成と適性検査施行の合同検討委員会ステートメント」
2017年9月1日より運転免許の新ステートメントが施行されます。今まで植込み後の作動で1年間の免許停止が、3か月に短縮されることになりました。
(下記の画像をクリックで大きく表示されます。)

20170901

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