大学時代の後輩が先日、入院した。理由は心臓ではなく、アルコール中毒症状による肝臓病で、かなり危ない状況になっていた。
会社の上司から異常を指摘され、病院へ無理やり行かされたら、即入院を命じられたそうだ。
腹水がかなり溜まっていて、抜いても翌日にはまた元通りに腹部が膨張するという病状だった。
入院は土曜日だったので、お見舞いに行こうと考えた。
病院によってお見舞いに関する受け付けは違ってくる。
電話で確認するより、インターネットで調べるのが楽だと思い、ホームページにアクセスすると、新型コロナウィルスのため、一切の見舞客を禁じてるという情報がトップに表示された。
それなら宅急便で何かを送ることはどうかと考え、読み進めてみたら驚いた。
かつて、お見舞い品として当たり前だった物が、今ではその殆どが禁止されているのだ。
たとえば花。
かつてはどこの病院の洗い場にも、花瓶が用意されていて、見舞いの花束を入れて飾ったものであるが、現在では病院において断られている。
理由としてトップにあげられているのが、緑膿菌の存在だ。水回りの環境に存在する弱毒細菌で、健常者には何の問題も起こさないが、入院中で体力のない患者にとっては恐ろしい存在(日和見感染)だ。それをもたらす花や花瓶の水は避けなければならない。
他にも花の香りへの不快感、看護師の作業に対する邪魔(確かに陶器製の花瓶だと、倒れる恐れがある)など様々な理由があげられる。
そういえば筆者が通っている病院の中にある花屋が閉店したのだが、これが理由だったのかもしれない。
果物などの食べ物についても、禁止している病院が多い。
血糖値を安定させるために、糖分を控えるという理由。
高血圧に良くないふりかけは避ける。
何よりも、治療の一環としての入院食の邪魔になるような食品は、患者のために避けなければならないことにも納得できる。
飲み物についても、患者の症状によって避けなければならないものがある。
カフェインは当然、その一つにあげられる。
日本茶を差し入れに持っていくという話を耳にするが、体内を浄化する一連の入院生活の中で、それは妨害になると言えよう。
当然、甘味料がたっぷり入ったソフトドリンクも、患者に対して「入院が長引きますように」というものになりかねない。
さてさて、どうしたものか。
本や漫画雑誌が無難になるだろうが、これは人の趣味によるもので、こちらが面白いと思うものであっても、相手にとっては退屈極まりない内容になるということが多々ある。
一番喜ばれるのはお金かもしれないが、病院まで行くことができないし、現金書留で送るわけにもいかない。
ふと、あることを思いついた。
後輩が入院している病院のホームページを再度開き、あることを検索した。
売店だ。
昔の売店は病院が経営していたものであるが、最近では大手コンビニチェーンが店を構えているケースが多い。
そして調べたら、ローソンが入ってた。
これはいける!
次に開いたのは、通販最大手Amazonのサイトである。
勘の良い方なら、もうお分かりいただけるだろう。Amazonのギフト券を贈ろうと考えたのだ。
コンビニの中で、Amazonのギフト券がこのような感じで販売されているのを見かけたことがあろう。
一番簡単な方法は、これを購入して直接渡すか郵送するか…であるが、前者は状況的に不可能であるし、後者については病院で郵便物を代理で預けてもらうサービスがあるのはあまり多くない。
しかしAmazonでは、このギフト券分の金額を、eメールで直接送るサービスを行っている。インターネットを通して、ギフト券と同等の金額を贈与できる。これなら病院まで行く必要はないし、入院している後輩も受け取りに苦慮する必要がないわけだ。
そして何より重要なのは、Amazonで注文した商品を受け取れる環境があるかどうか、である。
そこでチェックしたのが、前述の通り、病院内におけるコンビニの有無である。もしファミリーマートかローソンが入っていれば、送り先をそこに指定して、発注することができる。到着メールを確認し、病院の外へ出ることなく、院内コンビニで受け取れる寸法だ。
無論、Amazonが得意とする電子書籍や音楽のダウンロード商品も多数あるので、これほど便利なものはない。
方法はいたって簡単だ。
まず、Amazonギフト券のサイトへ入る。
2021年5月17日現在では、上記のような品揃えとなっているが、ここで選ぶのは「Eメールタイプ」、もしくは「期間限定(『Eメールタイプ』と同じ内容だが、期間限定でアニメや映画のキャラクターをあしらったデザインが追加されるもので、こちらもお勧め)」だ。「チャージタイプ」も似たサービスであるが、こちらは相手に対して直接、お金を与えるものであり、メッセージなどを追記することができない。
相手が即物的な人であれば、これを選んでも良いかもしれないが、やはり一言、何かを伝えてのお見舞いであろう。
今回は「Eメールタイプ」で説明していきたい。
クリックすると、様々なオプションが表示される。
”1.デザインタイプを選ぶ”では、「イラスト」「アニメーション」「画像・動画」を選択できる。
「イラスト」の場合Amazonが用意した、好みと状況に合わせた様々な絵が用意されている。
「アニメーション」だと、動くメッセージを選ぶことができる。
「画像・動画」の場合、自作の写真、イラスト、30秒の動画をアップロードして送るサービスとなっている。
アマチュアの漫画描きである筆者としては、何かしらラクガキを…。
気のせいか、あまりお見舞いにふさわしいとは思えない内容であるが、ひとまずこれをアップロードし、規約同意にチェックを入れ、「この画像を使用」をクリックする。
次にいくら送るかを選択する。
1万円しか送ることができないように表示されているが、15円~50万円の間の金額を1円単位で指定できるようになっている。
さすがに15円では何も買えないので、相場として3,000円から1万円の範囲を入力する。
贈り先のEメールアドレスを入力し、”配送”の項目で「Eメール」を選択しよう。「テキストメッセージ」でも問題ないが、こちらは見舞い文を入力送信することができない。やはり贈るからには、一言書き添えたい。数量は特に弄る必要はない。贈る時期についても設定することができる。
すべて設定を終えたら、「カートに入れる」をクリック(せっかちであれば、「今すぐ購入」)。あとはいつものAmazonでのショッピング手続き通り。
入院は誰もが望んで行うものではない。
どのような病気であれ、入院に際しての不安とリスクは多大なものだ。
親類縁者知人友人が抱えるその負担を物心共に少しでも応援したい。
だが、時代の趨勢によって、従来のやり方が難しくなっているのであれば、その時代に合わせた形での応援のやり方が表れてくるというものだ。
山本康貴